プロ野球観戦中に自分に向かって飛んできた「ファウルボール」について解説。
- ファウルボールをキャッチしたら、もらえるのか?
- 万が一、ファウルボールで怪我をしたときは、治療費等どうなるのか?
- ファウルボールの事故例
- ファウルボールの避け方
プロ野球観戦中にキャッチしたファウルボールは「もらえる」場合がほとんど
試合中にキャッチしたファウルボールはもらえる!
プロ野球、球場現地観戦中に飛んできたファウルボールは、基本、キャッチした人にプレゼントされます。
ひと昔前までは、球場スタッフさんに回収されていましたが、最近は持ち帰ってOKのケースがほとんど。
ツイッターなどのSNSでも「ファウルボールをもらった!」という声が寄せられています。
きのぴのファウルボール飛んで来た?????? #どらほー ????#中日ドラゴンズ #dragons pic.twitter.com/uBfrEwk5Pk
— LiSA (@LiSA_OLiVE) September 16, 2022
ミュージシャンのLiSAさんは、中日ドラゴンズ戦の観戦中に、木下拓哉選手のファウルボールが飛んできたとツイート。キノタクも、まさかLiSAさんがキャッチするとは思いもしなかったと思います(;'∀')
※余談ですが、LiSAさんのツイート画像左側の、なんともいえぬ表情は、前日の大野雄大投手の顔真似です。
試合前・練習中のファウルボールは回収される
試合中に飛んできたファウルボールは持ち帰っていい場合がほとんどですが、試合前の練習中に飛んできたボール、キャッチしたボールは球団スタッフさんに回収されます。
プレイボール前の打撃練習で飛ぶファウルボールやスタンドインした球は、持ち帰れません。
初ホームラン、100号ホームランなどの記念球も回収→記念品と交換になる場合が多い
選手にとって「はじめてのホームラン」であったり、100号ホームランなどの記念すべきメモリアルアーチをキャッチした場合も、ボールは持ち帰れないことが多いです。
記念球はスタッフから引き渡しのお願いをされます。
【前例】
中日ドラゴンズの根尾選手が野手時代に打った満塁ホームラン(1号ホームラン)は球場スタッフさんが回収しました。ボール引き渡しのお礼に、ホームランボールをキャッチしたお客様へは根尾選手のバッティンググローブ(サイン入り)のプレゼントがありました!
プロ野球観戦中のファウルボールによる怪我は「自己責任」
球場で現地観戦中に手に取れたファウルボールは持ち帰れますが、キャッチしようとして怪我をした場合や打球の行方から目を離して怪我をした場合は自己責任になります。
怪我をしても、球団側は補償してくれません。
試合観戦契約約款
第13条 (責任の制限)
主催者及び球場管理者は、観客が被った以下の損害の賠償について責任を負わないものとする。但し、主催者若しくは主催者の職員等又は球場管理者の責めに帰すべき事由による場合はこの限りでない。
(1) ホームラン・ボール、ファール・ボール、その他試合、ファンサービス行為又は練習行為に起因する損害
(2) 暴動、騒乱等の他の観客の行為に起因する損害
客席にファウルボールが飛ぶと、球場スタッフが駆け付け、怪我はないかなど、現状の確認はしにきてくれます。万が一、怪我があった場合は場内で応急処置を行ってくれはします。
しかしながら、簡易的なケガの手当て以外の「補償」は受けられないため、試合中はよそ見をせず、試合展開、ボールの行方を見届け続けましょう。
プロ野球で使う「硬球」は石のような硬さ
プロ野球に使うボール(硬球)は、石のような硬さと言われています
まれに、観客席でダイレクトに打球をキャッチし拍手が起こるシーンがありますが、硬球はめちゃくちゃカチカチです。ほぼ石です。ってか石。
ファウルボールは、デカい石がすごい高さ、わけわからぬ角度、超スピード感で飛んでくる感覚です。
下記のインスタ投稿は、2022年4月24日、京セラドーム大阪で行われたオリックス-ロッテ戦。
先発投手のロッテ佐々木朗希投手の直球155キロ・デッドボールを受けた、オリックス杉本裕太郎選手のお腹にできたアザ。
【勲章】#オリックス #ラオウ#杉本裕太郎 選手。
4回に腹部に155キロ直球を受け「ウワァー!」と絶叫。「擦っただけなんですけど…アザが。避ける時間がないです、速すぎて。ちゃんと当たってたらケガしちゃいそう」とお腹をさすりながら帰途に就いた。#ロッテ #佐々木朗希 投手
恐るべし…😭 pic.twitter.com/Y1b31jhOUo— 真柴健【日刊スポーツ・オリックス担当】 (@nikkan_mashiba) April 24, 2022
杉本選手は「かすった」と表現していましたが、かすっただけでもこの威力です……。硬球怖い……。
ラオウさん、お大事に……
ファウルボール、ホームランボールを自席を離れて取りに行くのはNG
「試合中にキャッチしたファウルボールはもらえる」となると、ファウルボールが欲しいあまりに自席を離れて走って取りにいきたくもなりますが、積極的にボールを取りに行く行為はNGです。
ファンサービスの一環で、客席に投げ込まれたボールや記念品を取りに走るのも控えましょう。思わぬ事故に繋がります。
球団やNPB(日本野球機構)でも、自席から離れてのボール拾いを禁止しています。
【例:広島東洋カープ 公式サイトより】
ファンサービスのために投げ入れられたボール等を取り合いすると思わぬ事故が起きる場合があります。打撃の際には、時としてバットや折れたバットの破片が飛来することがあり、同様に負傷事故が起きる場合があります。負傷事故に対する責任は負いかねますので、ボールやバット・バットの破片の行方には、常にご注意いただき、負傷等事故防止に努めてください。
どうしても、ファウルボールをキャッチしてみたい場合は、自席でグラブを装着して、ボールを待ち構えましょう。
普段からフライボールをキャッチする自己トレーニングもしておくと万全です。
ファウルボール事故例
過去にも、野球観戦中に起こったファウルボールによる事故・怪我がいくつかあります。
ボールキャッチしてみたい気分はとても分かりますが、素手でダイレクトに取っただけでも、かなりの痛みが生じるでしょう。
ファウルボールが当たって失明、後遺症――海外ですが、最悪は亡くなってしまった方もいらっしゃいます……。
事例①札幌ドーム|ファウルボールが顔に当たり、失明……
札幌ドームのプロ野球観戦中に、ライナー性のファウルボールが顔に直撃し重症を負ってしまった事故がありました。
ボールから目を離した際にファウルボールの直撃を受け、右顔面骨骨折、右眼球破裂、右目を失明。
バッターが初球のボールを打ってから約2秒後、ボールはグラウンド面から高さ5.5~6mほどの位置を時速約130kmで飛来
ボールの直撃で右顔面骨骨折と右眼球破裂の重傷を負い、右目を失明
事例②米大リーグの場合
アメリカ(メジャーリーグ)では、試合観戦中の臨場感を重視し、防球ネットを設置していない球場が多く、ボール直撃による怪我や事故がよく起こります。
- 2017年 ニューヨークのヤンキースタジアムで、観客にファウルボール直撃→病院搬送
- 2018年 ロサンゼルス・ドジャースの試合でファウルボールが頭に当たった79歳女性→死亡
- 2020年 シカゴ・カブス対ヒューストン・アストロズ 2歳の女児がファウルボールに直撃→脳に回復不可能な損傷
参照:CNN
ファウルボールのよけ方
野球観戦にファウルはつきもの――。
ですが、せっかくの野球観戦で怪我をしてしまっては楽しい時間も台無しです。
悲しい事故や、痛々しい怪我を負わないためにも、ファウルボールは何としてでも「よける」のが大切。
ファウルボールをうまく「よける」には、
- 打球から目を離さない
- いつ打球が飛んできてもいいように、常に片手は開けておく
- ボールの「跳ね返り」も見届ける
- いざ、ボールが飛んできたら、かがんで頭を守る
打球から目を離してはいけないのは大前提ですが、ボールが観客席に着弾したあとの「跳ね返り」にも注意しましょう。
空席や球場内のカベ、柵、階段などにボールが当たると、思わぬ角度がついてファウルボールが跳ね上がります。上から下へ跳ねることもあれば、下から上へバウンドする、ナナメに大きく跳ねる場合も。ボールが跳ねる方向はその時になってみないと分かりません。
万が一、自分のいる場所にファウルボールが飛んできた場合は、とにかく身をかがめて、頭と顔を守ってください。「こぶし大のデカくて固い石が、ヘンな角度からすごいスピードで飛んでくるから、とっさに頭部を守った」――みたいなイメージです。
球場内では試合中にたまに寝ている人がいますが、ホント危ないので気を付けてください。
筆者の野球観戦仲間で「ライナー性のボールが直撃して、流血しながら搬送される人を見た……」と言っていました。
ファウルボールが飛びにくい座席シートを選ぶのも〇
お子様連れのかたや、はじめての野球観戦、球場ではあまり野球は見ない――という人は、ファウルボールが飛びにくい・飛んでくるまでの滞空時間が長い座席のチケットを取るのもおすすめです。
選手の動きは多少見えにくくなりますが、なるべく上段席の後部シートで観戦すれば、よほどのクソデカファールでない限り、直撃する可能性は低くなります。
反対に、内野席や前列の席は、着弾頻度・着弾速度が速いため、臨場感は増しますが危険度は高くなります。ファウルボールにご注意ください。