野球の「奪三振率」について解説。
- 奪三振率とは、そもそも何?
- 奪三振率の計算方法は?
- 奪三振率の数値はどれくらいが目安?
- 奪三振率の歴代投手ランキング
奪三振率とは
奪三振率(だつさんしんりつ)
英語:Strikeouts per 9 Innings (K/9)
奪三振率は、ピッチャーの能力を評価する指標のひとつ。
1試合(9イニング)で何回、三振を奪えるか? を可視化するための数値です。
「奪三振」は、よく見る、あの三振です。3つストライクを取るあの三振。
三振を取ることで、投手に「奪三振数」の記録がカウントされ、奪三振率が計算されます。
奪三振(だつさんしん)は、投手が打者を三振に仕留めることで、投手に与えられる記録
引用:三振(Wikipedia)
奪三振率が高いと、三振をたくさん取れる投手、という評価になります。
奪三振率が高いと、味方のエラーなど、思わぬ状況でも失点しにくくなるため、ぜったいに得点を許せないクローザーやセットアッパーは、奪三振率が高い投手が担う傾向があります。
三振をたくさん奪える投手は「ドクターK」とも呼ばれます(Kは三振をあらわす)
奪三振率が低いピッチャーの中には、打たせて取るタイプもいる
奪三振率が高いピッチャーは良いピッチャーです。
ただし、ピッチャーの中にはあえてゴロを打たせて取るタイプのプレイヤー(グラウンドボールピッチャー)もいます。
打ち取りやすい球種をウイニングショットとする投手は、当然ながら三振の数は減ります。
いっぽうで、ゴロアウトを奪う投手の奪三振率は低くなる傾向。
打たせて取るタイプのピッチャーは、打球が低弾道になりやすいため、
- ホームランを打たれにくくなる
- 球数少なく、長いイニングを投げられる
- テンポよく試合が進む
- いつ、どこに球が飛んでくるか分からないので、野手が守っていて楽しい
など、メリットもたくさんあります。
三振が取れる投手 | 打たせて取る投手 | |
---|---|---|
球数 | 打者1人に最低3球 | 1球でアウトを取れることもある |
試合時間 | 長くなる | サクサク進めば早い |
野手の守備 | ひま | 忙しい |
よって、奪三振率さえ高ければ絶対的に良い、というわけでもありません。
奪三振率はあくまでも、投手の能力を図る指標のひとつ。
投手の能力を分析するための、その他のセイバー指標(防御率・QS率など)もチェックしておくと、より深く投手の力量を知ることができます。
奪三振率の計算方法・計算式
投手の奪三振率は、【奪三振率=(奪三振数×9)÷(投球回数)】の計算式で求めます。
投球回数は、1/3、2/3など、分数になる場合もあります。三振を取ったアウトの数だけ加算してOKです。
- 1イニング中にアウトひとつ取って投手交代した場合は+1/3で計算
- 1イニング中にアウトふたつ取って投手交代した場合は+2/3で計算
ひとりの打者を相手にしている途中に何らかの事情で投手交代した場合は、最後のストライク(3つめのストライク)を取った投手に奪三振が記録されます。
奪三振率の歴代ランキング・歴代記録
奪三振率の歴代投手ランキングを見てみましょう。
奪三振率:通算記録
※奪三振率7.0以上の投手。2022年シーズン終了時点
選手名 | 奪三振 | 投球回 | 奪三振率 |
---|---|---|---|
杉内俊哉 | 2156 | 2091.1 | 9.28 |
石井一久 | 2115 | 2153.1 | 8.84 |
江夏豊 | 2987 | 3196 | 8.41 |
工藤公康 | 2859 | 3336.2 | 7.71 |
川口和久 | 2092 | 2410 | 7.81 |
槙原寛己 | 2111 | 2485 | 7.65 |
西口文也 | 2082 | 2527.2 | 7.41 |
金田正一 | 4490 | 5526.2 | 7.31 |
奪三振率:シーズン記録
選手名 | 奪三振 | 投球回 | 奪三振率 | 記録年 |
---|---|---|---|---|
江夏豊 | 401 | 329 | 10.97 | 1968年 |
稲尾和久 | 353 | 404 | 7.86 | 1961年 |
金田正一 | 350 | 400 | 7.88 | 1955年 |
江夏豊 | 340 | 337.2 | 9.06 | 1970年 |
杉浦忠 | 336 | 371.1 | 8.14 | 1959年 |
稲尾和久 | 334 | 373 | 8.06 | 1958年 |
梶本隆夫 | 327 | 364.1 | 8.08 | 1956年 |
稲尾和久 | 321 | 402.1 | 7.18 | 1959年 |
杉浦忠 | 317 | 332.2 | 8.58 | 1960年 |
金田正一 | 316 | 367.1 | 7.74 | 1956年 |
【参考】奪三振率の目安を2022年成績から見てみた
奪三振率の数値の目安を知るべく、2022年の投手成績から奪三振率をチェックしてみました。
奪三振率:2022年の主な投手の記録
選手名 | 奪三振 | 投球回 | 奪三振率 |
---|---|---|---|
大谷翔平 | 219 | 166 | 11.87 |
菊池雄星 | 124 | 100.2 | 11.09 |
和田毅 | 75 | 81 | 8.33 |
田中将大 | 126 | 163 | 6.96 |
山本由伸 | 193 | 205 | 9.56 |
佐々木朗希 | 173 | 129+1/3 | 12.04 |
こうして見てみると、2022年沢村賞の山本由伸投手は奪三振率9.56。1試合で9個以上の三振を取る計算になります。
この年に完全試合を達成した佐々木朗希投手は奪三振率が12.04とえげつない数値に。
ゴロアウトを取るピッチャーは奪三振率が下がる傾向があるので、奪三振率=被打率ではありませんが、奪三振率をチェックするときの目安になりそうです。