塩分の摂り過ぎは万病のもと。
知ってはいても、通常の食事から塩味を加減するのはなかなか難しいですよね……。
砂糖を控えるための人工甘味料は多く市販されているのに、塩分をゼロにするための「人工塩味料」はまったく見かけません。
スーパーなどでも、塩分を50パーセントほどカットした調味料(お醤油など)は見かけますが、塩分0のものは皆無。
ではなぜ、人工甘味料は存在するのに、人工「塩」味料は存在しないのでしょうか?
塩分ゼロの人工塩味料が存在しない理由とは?

【結論】塩を加工すると不自然な味になるから、人工塩味料が存在しない
通常、塩分をカットした塩は食塩に塩化カリウムを混ぜて作られています。塩化カリウムはカリウムと塩素の化合物で、しょっぱい味と独特の苦味が特徴。
しょっぱい味とはいっても、塩分ではないので塩の代わりに使えばいいじゃないか――と思いきや、独特の苦味がジャマをして、そううまくはいきません。
そこで、塩化カリウムの苦味を消すために別の成分を加える必要があるのですが、この工程で加工すると今度は食塩とは違った、不自然な味になってしまいます。
未来には、減塩ではなく塩分ゼロの調味料が開発される可能性もありますが、現段階ではこのような理由から、おいしい人工塩味料は市販されていません。塩分を控えるには、どうやら毎日の食生活に気を配っていくのが一番のようです。
おいしく食べて減塩できる技術は開発中
現段階では「人工塩味料」こそありませんが、塩味を感じる技術そのものは研究・開発が進められています。例えば、以下の例。
慶応義塾大学発のベンチャー、LTaste(エルテイスト)が開発した『ソルトチップ』は、そんな食と健康の問題を解決する画期的なプロダクトだ。一例として、おにぎり2個を食べる場合、食塩摂取量は20分の1程度に抑えることができる。
引用:塩をとらなくても、塩味を感じる 美味しく減塩する新技術
「ソルトチップ」なるプロダクトが立ち上がっており、食塩摂取量が格段に抑えられる新技術に期待が集まっています。
人工塩味料はないが、塩分を排出する食べ物、飲み物ならある
人工甘味料の塩バージョン、「人工塩味料」はいまだ開発途中ですが、私たちが手に取りやすい食べ物、飲み物の中で、体内の塩分排出を促す食品・成分は存在します。「カリウム」です。
カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進する
引用:カリウムの働きと1日の摂取量
カリウムは塩分・ナトリウムの排泄効果を持つため、塩分過多になりがちなときの強い味方になります。
カリウムを多く含む食材の例
カリウムは、以下の食材に多く含まれます。
- 刻みこんぶ、ひじき、海苔などの藻類
- あんず、いちじく、ぶどう、かき、アボガドなどの果物
- さつまいも、さといも、ながいも、じゃがいもなどのイモ類
- 大豆、納豆、豆乳、豆腐などの豆類
- 豚肉、鶏肉、牛肉などの肉類
- さわら、かんぱち、まだいなどの魚介類
- 切干大根、ほうれん、えだまめ、にら、こまつな、しそなどの野菜類

飲み物では「無塩タイプのトマトジュース」がカリウム豊富!
参考:トマトジュースの効果|ちょい足しレシピやリコピンについても解説
カリウムは水溶性(水に溶ける性質)のため、煮る・ゆでるなどの加工によって溶けだしてしまいます。
カリウムを逃がさないように取り入れるには、生野菜、加工していない果物を食べると良いでしょう。トマトジュースであれば、手軽にカリウムを摂取できますので参考にしてください。