仕事や学校の授業が午前中、半日だけで終わることを「半ドン」と表現します。
勤務が午前中だけであること。また、その日。半休。
引用:半ドン(精選版 日本国語大辞典 コトバンク)
最近ではあまり使われなくなった言い回しですが、ひと昔前までは「今日は半ドンだから、午後からはゆっくりしよう」「土曜日は半ドンだからラク~」など、半休を表す際の日常会話で使用されていました。
――ところで、この、半ドンの「ドン」の由来を知っていますか?
半ドンの「半」は、半分の半だろうなとは想像つくのですが……

半ドンの「ドン」はどこから来たのでしょうか?
「半ドン」のドンの由来・語源
半ドンの「ドン」の由来・語源は、ふたつあります。
ひとつ目は、オランダ語で日曜日、休日をあらわす「ドンタク」が語源になっているという由来です。
ドンタクはもともと「休日」「日曜日」を意味する言葉。オランダ語で日曜日を意味する「Zondag ゾンターク」が訛って、ドンタクと呼ばれるようになりました。
ドンタクの頭の部分「ドン」に、半分の「半」をつけて半ドンという言葉となったのがはじまりの由来。
加えて、明治大正時代の慣習であった正午を知らせる空砲の「ドン」という音が語源となっています。
当時は、正午の時刻になると「ドン!」という空砲の音がして、お昼の時間を知らせる合図がありました。全国的に空砲が打たれていたわけではありませんが、このときの「ドン」という発砲音が半ドンの「ドン」の語源とも言われています。

現在も、正午になるとチャイムがなる地方がありますね。
昔は、空砲の音を「ドン」と鳴らして、正午をお知らせしていました。
「半ドン」の使用例文
半ドンを日常会話に使う例は以下の通り。
- 「明日は半ドンだから、午後から映画を見にいこう」
- 「今日は半ドンのはずなのに、日が沈んでも職場から帰れない……」
「半ドン」は死語?もう使われない?
「半ドン」という言葉そのものが、最近では使われなくなっています。
昭和~平成初期までは、学校や企業で「土曜日は半日でおしまい」という風習がありましたが、昨今では完全週休二日制を導入する企業や学校が増え、時代とともに「半ドン」という制度が減っていきました。
今では「半日休み」「半休」という言葉を使う企業が増えてきています。
「半ドン」の類語|時間を表現していた、消えゆく言葉
時間軸を表現する言葉で死語になりつつあるのは「半ドン」だけではありません。
花金(花の金曜日)
花金(はなきん)という言葉も、昨今では死語となっています。
花金――花の金曜日は、バブル時代に流行したトレンドワード。金曜の夜は翌日の仕事の心配がないため、「夜更かしして遊ぶぜ、イエーイ」といった自由を謳歌する人々の姿を現す言葉でしたが、バブル崩壊による景気衰退とともに死語と化しました。
プレミアムフライデー
プレミアムフライデーは、毎月月末・金曜の就業時刻を15時にする企業への施策です。「いつもとは違う豊かさを楽しむ」をモットーに、日本政府と経済界が2017年に開始しました。
プレミアムフライデーは、2017年(平成29年)2月24日から始まった日本政府と経済界が提唱した個人消費喚起キャンペーン
引用:プレミアムフライデー(Wikipedia)
しかしながら、実際にプレミアムフライデーを導入した企業は1割弱で、実情は「タイムカードを押したあとに残業した」「そもそもプレミアムフライデーなんてなかった」という現場の声も……。
業務過多になる月末の午後15時に「お疲れ様でした!」と仕事を終えられる企業も少なく、キャンペーン自体が定着しないまま形骸化され、いまでは死語となりつつあります。
夜なべ
「夜なべ」という言葉も、昨今ではあまり聞かなくなりました。
「夜なべで内職をする」「夜なべで手袋を編む」など。
一晩中起きて作業をする意味の言葉は「徹夜」「不眠不休」などを目にする機会が増えています。
「半ドン」の由来:まとめ
以上、「半ドン」の由来や、半ドンの類語をまとめました。
- 日曜日を示すオランダ語「どんたく」の「どん」が語源
- 正午を知らせる空砲の「ドン」という音が語源
ご家族やお友達との会話ネタにしてみてくださいね。
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