生魚を調理する前に、下ごしらえとして塩をふる工程があります。
一般的に「振り塩」と呼ばれていますが、魚にあらかじめ塩を振っておくのは、味付けのため以外に、臭みを抜いたり、魚の身を引き締めるなど、良い効果がたくさんです。
生魚の調理前に振り塩をすると、生臭さが取れる!
生魚の下ごしらえ段階で振り塩をしておくと、魚独特の生臭さを取る効果があります。
生の魚に塩をふりかけると、魚の表面に残っている水分に塩が溶けて、食塩水になります。
そうなったとき、塩分濃度を均一に薄めようとする浸透圧が作用して、魚の内側から水分が出てきます。
このとき、魚の水分といっしょに、トリメチルアミンなどの生臭さのもとのなる成分が放出され、臭みが抜けます。
振り塩で魚から出てきた水分は、キッチンペーパーなどでふき取りましょう。
魚に振り塩をする時には、ザルなどの水分が落ちるものに魚を並べ、まんべんなく振ると、余分な水分が抜けて生臭さも減少します。
塩の振り加減によって薄塩(甘塩)、強塩のように言い分け、白身魚や切身などには薄塩、青魚や身の厚いものには強塩にします。
生魚の調理前に振り塩をすると、魚のうまみが増す!
生魚の調理前にあらかじめ振り塩をしておくと、魚本来の「うまみ」を増す作用も働きます。
たんぱく質は、熱で固まる性質がありますが、塩を含むことによって、固まる速度が早まります。
この原理を利用すると、魚にあらかじめ振り塩をしておけば、魚に熱を加えたときに表面が固まるので、焼き崩れを防ぐと同時に、魚のうまみ成分が溶けてしまうのを防げます。
また、水分の引き出しによって魚の表面が乾燥し、調理中に魚が均一に加熱されやすくなるという利点もあります。
均一に加熱されることで、魚の身がより柔らかく、調理後の食感が良くなります。
振り塩をしてから焼いた魚は、うまみが出て弾力もあって、おいしく仕上がります。

魚の味付けとしてほんのりとした塩味をつける意味でも重要!
魚に塩を振るタイミングはいつがいい?
調理前の生魚に塩を振るタイミングは、魚を約30分~1時間前がおすすめです。
魚の種類や大きさにもよりますが、青魚(サバなど)は臭みが強めなので、30分~1時間前には振り塩をしておくのがベター。
皮が厚い魚や、脂が乗っている魚も、少し長めに時間を置きたいです。
逆に、白身魚は臭みが少ない個体が多いので、振り塩をして5分~10分ほど置いてから焼きましょう。
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